ひりひりくらいがちょうどいい

「大人しい子供」でした。日々の書きたいことを書きたいように書いていきます。

32歳、最後の昼

 何となく自分の中で恒例になってきているので書いておこう。あまり長く時間はかけられないけれど。

 

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 今、隣りの部屋でスヤスヤ眠っている子ども。一年前の今頃、私のお腹の中にいた、はず。多分、1ミリくらい?気づいてもいなかった。

 7月に出産して3か月。始めはバタバタで昼も夜もない。2か月入る前くらいからまとまって眠るようになってきて、今月から生活リズムもキッチリ整えていかないとなぁと考え始めたところ。

 母親やってます。母親やることになるとはなぁ。数年前の自分からしたら思いもよらないことだった。子ども好きだけど、まさか自分の子を持つようになるとは。

 そして私は子ども育てるの楽しんでる。自分の今までいた世界とは違っていて新鮮。こんな楽しくできるものだとは。自分の性格からしてノイローゼか産後うつになるかもしれない、と覚悟していたのに。子どもの性格もあるんだろうなぁ。あまり泣かないし、よく飲みよく眠る。穏やかな赤ちゃん。元保育士の母いわく育てやすい子。おそらく主人に似たんだろう。優しい遺伝子をこの世に残したい、という私の希望は果たされたのだ、ひとまず。

 

 今日は保育園の見学に行ってきた。3か所目。近所の3か所の中から希望順位を決めていく予定。保活。この言葉はあまり好きじゃないけど。待機児童多い激戦区なので、育休切り上げて0歳4月入所できるように準備を進めている。育休自体はうちの会社は3年取れる。けど手当はない。本当は1歳になるまでは一緒にいたいのだけど、入れなくなると困ってしまうので泣く泣く。「日本死ね」と言いたくなる気持ちもわかる。いつでも好きな時期に、自分が希望する保育園を選んで入られる世の中になってほしい!!考え方は一つじゃないのに、日本の制度は融通が利かなさすぎる。

 惑う私に、今日見学に行った保育園の園長先生が、欲しかった道しるべみたいな話をしてくれた。

 「子どもはずうっと家の中に居るよりも、どんどん外に連れ出したほうがいい。家の中でお母さんと二人だけでいるよりも、外で刺激を受けたほうがいい。いろんな大人や他の子どもの声、少し大きい子の声、おじいちゃんおばあちゃんの声、たくさんのものに触れさせることが大事。」

 園長先生のお話、悩んでいたからこそ胸に響いた。どんどん外にって考え方、良いなと思った。

 その保育園では在宅育児をしている小さい子のお母さん向けに毎月いろんな催しをしていて、熱心に誘われた。育休中の今しかお子さんと一緒に来れないのでぜひ来てくださいって。行ってみよう!こういうの大好き!二つ返事で申し込んだ。

 「私もずっと家にいたらどこか行きたくなるんです」って言ったら、

 「お母さんでそうなら子どもはもっとそう!」って。

 この園長先生とは考え方が合いそう。理念がしっかりしてる人のよう。

 生活リズム整えていこうと思い始めていたところなので、こういう催したくさんしてくれるのはありがたい。メリハリがつく。

 なんだかんだ私は外に出たいタイプなのかもしれないなぁ。ゆっくりできるのは育休中の今だけなんだろうけど。

 

 保育園も、4月に預けることになるのか、落ちて待機になるのか、運良く途中入所できるのか…。わからないけど、来る結果は、私たち家族にとって一番良いもののはずだ!!そう信じよう。

 

 子どもが起きました。遊んであげようかな。それともオッパイかな。母親してます、けど時間みつけて好きなブログも書いてます、32歳最後の昼です。

 来年はもっと忙しいだろうなぁ。

 

 

出産予定日のチョコレート

ついに出産予定日がやって来ました!
やはりというか初産だからか予定日は遅れる兆し…。出産したらなかなかブログも書けなくなるだろうし、今のうちにフレッシュな気持ち書き残しておこう。

昨日は金曜日ということをいいことに、主人と夜更かししてしまった。金曜日、土曜日は毎回いつもこうなる。妊婦なのに夜更かし…。臨月入ってからなかなか寝つけなかったり一晩中眠れなかったりしたこともあったけど、最近1時間ちょっとがんばって散歩するようになってからは体がほどよく疲れているからかよく眠れるようになりました。
昼過ぎまで爆睡!!良いのか悪いのか。まあお産のために休んでおくってのも大切だしね。
ごはん食べてちょっと間したらお腹痛くなってきた。陣痛か!?って思ったけどだんだん収まってきたのでどうやら前駆陣痛だったようです。その後おしるしも!これはそろそろ近いということか…。
のんびりしてから、梅雨の晴れ間に主人と散歩に行くことに。前から行ってみたかった隣の駅近くのチョコレート屋さんまで歩いて行きました。
一個は小さいのにお値段300円ほどで、どっちかというと自宅用というより手土産用のお店だった。セット販売だったので自宅用に5個買いました!
今晩陣痛始まるかもしれないので!家帰ってさっそくいただくことに。体重考えて最近はお菓子控えぎみだったけど、多分もうすぐ産まれるので!もういいかなと(笑)。チョコレートはコーヒーと一緒に味わいたいな、久しぶりにコーヒーも解禁しちゃおうかな、と呟いたら。
主人がコーヒーミルで豆ガリガリしてコーヒー入れてくれた!嬉しかったな。思いがけなかったから。普段はコーヒーはドリップ式の飲んでるんだけど、たまにガリガリしてるのです。特別な時とか。結婚式一周年の時にプレゼントしたエプロンも着けてくれた。何というか、いつもだいたい私がこれしてあれしてって言って動いてくれるタイプの彼なので、何も言わなくても特別な気持ちを持って動いてくれたのがすごく嬉しかった。今この一瞬が特別な時なんだってお互いにわかり合っていて。
チョコレートは、中身が生チョコになっていてすごく美味しかった!一個300円の価値あり!

今日か明日か明後日か…それとももっと先になるのか。いつお産スタートするのか不明ですが。自分としては明日夜サッカーのセネガル戦見てから月曜日くらいに陣痛始まってほしいけどそんな都合良くはいかないもんね(笑)。火曜日健診だけど助成券なくなって実費で5000円はかかるからそれまでに、とも思ったり(笑)。
大丈夫だよ!今はもう!いつでも準備はできてるよ。痛いのは怖いけど痛いのは仕方ない!主人もいてくれるし、普段頼りないところもあるけど私がつらい時はきっとしっかりサポートしてくれる!
大丈夫だ!!
お産直前、妊婦の心模様でした。

産休スタート!

 ものすごく久しぶりの更新になってしまいました。妊娠発覚してからあれよあれよと月日が去り、現在妊娠9か月、35週、予定日前6週の産前休暇に入り一週間が経ちました。
  主人との二人の思い出づくりに近場に旅行したり、なかなか出来なくなるであろう外食三昧、赤ちゃんグッズの買い物、毎回の妊婦健診、両親学級、マタニティフォト撮影…、半年ほどのマタニティライフ、割ときっちり楽しみました。つわりが軽めだったり、風邪はひいてしまったけど妊娠によって体調が悪くなることはほとんどなくて、これまで恵まれていたなと思います。

  いよいよ出産!予定日まであと1か月。
  初産婦は予定日遅れるってよく言われるけどどうなんだろう。私としては産前休暇できるだけ長く楽しみたいなって気持ちがあるので予定日前後に産まれてくれたら一番理想的。自分一人きりの時間を充分に満喫できるのは産まれる前だもんね。けど臨月入ったら体が重くて何をするにもしんどくなって、早く産んでしまいたいって気持ちになるのかもしれないし。
  私は何でも計画的に考えておきたいところがあるので、この「いつ産まれるかわからない」って感覚が妊娠・出産の過程の中で一番肌に馴染みにくい感覚かもしれません。予定日がちょうど給料日前なので予定日前に産まれたらその後の生活費はいついつ工面して…とか現実的なことが気になってしまう(笑)。予定が立てにくい、というか立てられないのがちょっとしたストレス。いや!ストレスなんて言ってしまったら赤ちゃんがかわいそうだ。いつ産まれてきてもいいからね~って日々おおらかな気持ちで過ごすのが、きっと心にも体にも良いんだろうな。
 というわけで体が比較的まだ動く今のうちに出来ることやっておこうと、先週一週間は衣替えやらキッチンの片付け、ベビー服の洗濯などに精を出しました。出産後一月ほど実家に帰る予定なので、きれいにしておきたいなと。職場の先輩からのアドバイスためになりました。休みつつですが。やはり疲れやすいのか一度体を横にしてしまうとなかなか起き上がれない(笑)。ともだちは産前、臨月入ってから出産施すために毎日一時間は歩いてたと言っていたけど、私には一時間はしんどいかも。動いたほうが良いのはわかるので毎日買い物くらいは行こうと思いますが。確かに予定日過ぎてまだ産まれないーってなったら焦りそう。

  産休一人時間、あと何日続くか定かではないけど、たまっている録画した映画を観たり、好きな本読み返したり、音楽聴いたり、思う存分満喫して自分に優しく過ごそうと思います。育児本読んだり歩いたり家事を挟みつつ!
 結婚して一年強、出産はもっと後でも良いかなとも思っていたけれど、一日一日の生活を大事に、仕事で遅くなった日でも少しでも楽しく過ごせるようにと主人と二人の時間を過ごしてきたからか、あまり不安も不満もなく今の状況を受け入れられているのが、嬉しいです。感謝。

妊娠、発覚!

 先日、妊娠が発覚しました。子どもを産むということに興味を持ち始めた矢先、まさか自分がこんなにも早く妊娠するとは思っていませんでした。生理不順で排卵日も正確にわからなかったのに。びっくりしました。  

 もうそろそろ、子どもをつくるために具体的な行動をしていってもいいね、と主人と話し合った。そう、前々回のブログを書いたまさにその時期。
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 3月くらいに出来たらいいかな~なんて、時期なんて決められないのにのほほん考えていた。何に気をつけるってこともなく、普段と同じようにたまにお酒を飲んだり、誕生日にはお寿司まで食べに行った(妊娠中は生もの避けたほうが良いと言われますね)。コーヒーも気にせず毎朝飲んでいた。
 2年前に職場が変わってから生理が遅れがちだった。おそれくストレスの影響。それまでは機械かと思うくらいキッチリした周期だったのに。周期が常にバラバラで排卵日が予測できないので、きっと私はもし妊活始めようってなった時に苦労するだろうな、と思っていた。それでも毎月何とか来てはいたから良かったのかな。
 よく生理が遅れたことで妊娠の可能性に気づく、というパターンが多いようだけど、私にはこれがまったく当てはまらなかった。一週間以上遅れることなんて、これまでざらにあったから。何となーくお腹が痛いような気はしていた。けど生理が始まる前兆かな、と思って気にしなかった。
 前回の生理開始日から数えて43日以上経った段階で、不安になり始めた。今まで43日以上遅れたことがなかったからだ。けれど私は妊娠しているとは考えなかった。初めての子作りで妊娠のことを意識しすぎているから、身体に妊娠初期のような症状が出ているんだ、これはいわゆる想像妊娠に違いない!と8割方思っていた。お腹痛いな、妊娠かな⁉なんて主人に冗談めかしてけしかけると、そこ胃だよ!なんて言われてのんきに笑い合っていた。胃のむかつき、急な吐き気がしても、これは想像妊娠だ、想像妊娠だから妊娠検査薬で陰性が出るのをはっきり見たら次の日ちゃんと生理が来るだろう、よし、検査薬買いに行こう!と近くのドラッグストアまで自転車で買いに行った。
 主人も私も8割方陰性に違いないと決めてかかって試した金曜日の夜。結果、くっきりと線が浮き出てきた。陽性。びっくり!!毎週観ているドラマの「コウノドリ」もそっちのけで驚いたり喜んだりした。リアルコウノドリだ。けど検査薬の精度は100%ではないしね…何か他の病気の可能性だってあるし、とお医者さんに行くまでは冷静になろうと言い合う私たち。翌朝近所の産婦人科で3時間近く待った末の診察。7週1日です、との結果でした。

 妊娠してるのかしてないのか確かめる感覚で診察に臨んだのに、看護師さんがカメラ見ながら「赤ちゃん見えますよ~」なんてさも当たり前のように言ってくれるものだからびっくり。胎芽1.6㎜と、7週目にしては小さめではあったけれど。こんなに早く、有り体に言うとまさかほぼイッパツ目で出来るとは思っていなかったから(計算するとね)、すごい確率だ!今なら宝くじ当たるかもしれない!と、帰り道ハロウィンジャンボ宝くじを記念に(?)買って帰りました。
 あれから二週間ほど経って、日々すくすく成長しているのかもしれない。自分のお腹の中に居るはずなのに成長しているのかどうか、いまいちよくわからない。幸いつわりは軽めのようだ。ネットなどの体験談とくらべてみると。それでも頭痛や胃痛や寒気や腹痛、吐き気、いろんな不調が順繰りに押し寄せてはきてるけど。我慢できるくらいの絶妙な程度で。
 今週末、3か月健診です。まだまだ安定していないので、不安はありますが、しっかり受けて自分と、そしてお腹の、子、の状態を確かめに行こうと思います。
 子、なんて不思議な感覚です。自分だけの身体じゃないんだな。健康管理、気をつけないとな。責任、があるよなぁ。

31歳、最後の夜

 30歳最後の夜にも、記念にブログを書きました。

 

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 あれから一年。激動・激変の一年。

 仕事をして、帰り道に買い物をして、夕飯をつくって食べるのは一年前と同じ。夕飯の分量が一人分から二人分になった。

 31歳最後だからと、久しぶりにお酒を飲んでのんびり。

 31歳もいろいろあった。前半6か月は結婚式までの結婚準備期間。半年で全部やってしまおうとしたから、まさに疾風怒涛。後半6か月は、前半ペースアップしていたぶん速度を落としてボチボチと新居の片づけをしたり、内側を固めることに時間を使った日々だったな。あ、新婚旅行も行った。前半と後半のペースが違いすぎて、同じ半年間なのだと思うと不思議な気がする。

 もう一年経ったんだなぁ。一年後結婚している、とは…思っていたけれど、ここまで生活が落ち着いてきている気はしていなかったな。31歳は自分にとって大激変の一年だった。

 

 明日は有給を取っている。だいたいいつも誕生日は有給を申請している。帰り際上司に「明日勉強会行くの?」なんてイヤミを言われた。「行きたいけど予定があるので行きません」と即答。日にちが違ったら行きたかったのは本当。

 イヤミなんて、普段は気がつかない。根が素直というか真面目すぎる私は、言葉を言葉どおりにまんま受け取るところがあって、イヤミを言われても気がつかないことがままある。けど今日はさすがにわかった。

 モヤモヤしながら家に帰り、主人に今日の出来事を報告。その日印象に残った出来事を主人に報告するのは日課になっている。主人はそれに対して大きく意見をすることもなく、だいたい話をうんうんと聞いてくれる。スマホやテレビを見ながらだって何でも聞いてくれるのが嬉しい。上司のこと「性格悪いな」って。自分の話に興味を持って聞いてくれる人の存在って本当にありがたい。聞いてくれるだけでモヤモヤが晴れていく。こういうの、結婚して良かったことの一つだな。

 さあ、明日は仕事のことは忘れて、32歳最初の一日を、自分らしく楽しんで過ごすぞ!

 

子ども産むこと

 今まで生きてきて、自分の子どもが欲しいと思ったことがなかった。子どもはかわいいと思うし、子どもの心理や教育学的なことに興味はあるけど、自分の子どもを持ちたいかとなると話は別。赤ちゃんより動物をかわいく思う人間だし、子ども好きだけど接し方がわからなかったり。自分も子どもみたいなものだしなと思ったり。

 結婚して子ども産んでって、スタンダードな女性の幸せに興味がなかった。子ども産むより、自分自身の魂込めて小説や詩や物語を創りたい、そちらの活動に邁進したいって気持ちがあった。自分が創るものだって自分の子どもみたいなものなんだからって。子どもを産んだら自分の好きなことをする時間がなくなってしまう、制限されてしまう、自分のためだけに時間やエネルギーを使えなくなる…そんな思い込みが強くて、結婚したからって、さあすぐ子どもつくるぞ!という気にはなれなかった。

 今、かたくなな考えが少しずつほぐれつつある。

 

 休日の朝方、思ったより早く目が覚めた。となりにはすやすやと気持ち良さそうに眠る主人の顔。主人はとてつもなく優しい。優しすぎる。せつないくらいに。

 

 もうそろそろ一年になる。31歳になった最初の日の夜、結婚しよう、と言われた。一生使えるよって、名前が彫られた柘植の櫛をもらった。大切にしていたのに。

 結婚式の二日前、なくしてしまった。駅のトイレか電車の中か。何度も探し、問い合わせたけれど見つからなかった。もともと私は忘れ物や落とし物が多く、今までもいろんなものをなくしてはすぐに見つかったり見つからなかったりを繰り返してきた。もっと気をつけていたら、と何度も悔やんだ。よりによってプロポーズの時にもらった大切な大切なものを、結婚式の二日前になくしてしまうなんて。悲しすぎる。

 主人に恐る恐るその日のうちに、失くしてしまったことを告げた。

「鞄の口を開いていたのはいけなかったな」

「そうだね」

「………」

「………」

 沈黙。少しして、どうしたんだろうと様子をうかがってみると、声を出さずに泣いていた。泣いているところを見たのは初めてだった。普段穏やかな彼がこんなになるなんて。あれはただの誕生日プレゼントじゃないんだよって。自分にとっては婚約指輪みたいなものなんだよって。彼にとっても櫛は当然思い入れのあるものだったのだ。

 その日は二人で櫛を失くしてしまったことを悲しみ抜いた。

 主人を泣かせてしまうほど悲しませてしまった自分がたまらなかった。

 主人は悲しんだけれど、私を責めて怒ることはしなかった。

 

 主人の寝顔を見ていて、つくづく思った。優しいなぁと。私なんて、どうでもいいようなことですぐ怒って態度に出してしまうのに、主人はどんなにひどいことをされても自分のためには怒ることをしない。ただ静かに悲しむだけなのだ。

 この優しい優しい繊細な遺伝子を大事にしたい、そう思ったのだ。

 

 形のある物はいつかは無くなってしまうし、物は物でしかない。と、櫛を失くした時何度も自分に言い聞かせた。大事なのは物と共にある気持ちなんだって。

 大真面目に言うと読んでいる皆さんが恥ずかしくなるようなこと。恥ずかしくなるようなことだけど、実は皆同じような思いを持っているのだろうな、ってこと。

 愛する気持ち、を残したいのだ。私と主人、二人でつくる命、それはつまり私たちがこの世界で愛し合っていた、っていう一つの証明。

 あとで冷静に読み返したとき大変気持ち悪く、こっぱずかしいのだろうけど、大真面目に言ってそういうこと。

 命は引き継がれていく。私と主人がこの世界からいなくなっても、私たちの命=私たちが愛し合っていた気持ちの証、は世界にずっと残り続けるのだ。そうしてあわよくば何代にも継がれていったのなら、人間として産まれて主人と出会って愛した記憶が世界に刻まれることになるんじゃないかなって。それは私にとってすごく価値のあることだなって。

 寝ぼけた頭でぼんやりと、しかし確信と呼べるものを持って、考え感じた数分間。

 

 今すぐに何をどうこうではないけれど、一つの方向性が見えてきた。それは夫婦にとって良いことかな、と思う。

 自分の歩く道筋が徐々に変わってきた。変わってくるからこその醍醐味もあるのかもしれない。

  自分の好きなことに時間を使いたいって気持ちは健在。子どもができるからって自分の好きなことに時間を使っちゃいけない決まりはないんだし、すべては自由で自分次第。可能性はいつだって無限に広がっているし、道が無いなら自分で新しく創ることだってできるのだ。

 子ども欲しいと思ってすぐに出来るほど簡単なものじゃないけど。誰にでも出来るものではないし、もしかしたら出来ない可能性だってある。その時はその時。

 ひとまず。とりあえず。ぼちぼち情報収集していこうかな。年齢的にはぼちぼちなんて言ってる場合じゃないのかもしれないけど、焦ってどうなるものでもないしね。

 

 少しずつ、自分の中の目新しいこの気持ちを育てていこう。そんなふうに思っています。

 

 

コンサート終わって、新婚旅行終わって

 結婚式後に控えていた二大イベントが終わりました。
 一つは、所属している合唱団のコンサート。もう一つは、ハワイへの五泊七日の新婚旅行です。

 元々コンサートの時期は一年以上前から決まっていて、それを見越して結婚式の時期を決めた。式後すぐに新婚旅行に飛び立つには忙しいので、コンサート終わって一週間後に出立することを式終わって一週間後に決めた。
 独身時代から形を変えながらもかれこれ10年以上続けている合唱団。合唱だけじゃなくて、お芝居やダンスでも表現して舞台を創る。練習場所から遠いところに新居を構えてしまったので、当然移動に時間がかかり週末は一般的な新婚生活よりも忙しくなった。
 忙しいし疲れるし、時間が足りなくて私のせいで新生活の準備もままならないまま。ついイライラして主人にしょっちゅう当たってしまう悪循環。そして後悔と自己嫌悪。
 コンサートの一日前、ついに主人に叱られた。
 「自分の好きなことをやっているんだから、それでイライラして怒ったら駄目だ。
 そんなに怒っていたら楽しくないんじゃないかと思ってしまう。だったら辞めたほうがいいんじゃない?って思ってしまうよ」
 まさに。確かに。当然。私には余裕が無かった。イライラしてしまうとしても、好きで続けていて主人にも協力してもらってるんだから、当たるなんて問題外だ。
 めったに怒ることのない穏やかな主人に叱られた。
 「新婚旅行前だから言うのどうしようかと思ったけど」
 いや、言ってくれて、良かった。叱ってくれて良かった。

 新婚旅行の後半。ショッピングセンターからホテルに戻るトロリーの中、二人並んで夜風に吹かれていた。キラキラ光る夜のワイキキの町並みを眺めていると、涙がこぼれてきた。
 旅の序盤、お腹が空いているのにパンケーキのお店がなかなか見つからずイライラしてしまった。自分も主人も下調べをしていなかったからだと苛立った。些細なことで怒ってしまった。ギスギスしたムードをつくってしまうのはいつも私。周りのハネムーナー、お嫁さんは皆優しくニコニコ笑っているのに。短気な自分を他の女性とくらべて落ち込んだ。
 パンケーキはなかなか食べられず旅は後半へ。諦めかけていた頃に、買い物したお店で主人がパンケーキのお店がどこにあるか聞いてくれた。ようやく食べたパイナップルのパンケーキ。生クリームがたくさん乗っていて美味しかった。
 思い通りにいかないとすぐに態度に出してしまう私。それは主人の前だけなんだけど。優しいから何も言わないだけで本当は我慢している。その優しさに甘えてしまっている。
 こんな自分に、主人は果てしなく優しい。パンケーキのお店、ちゃんと見つけてくれた。本当に優しいなぁ、と、涙がこぼれてしまったのだ。

 しっかりしている、テキパキしている、そんなことよりも、優しさのほうが100倍偉大だ。
 しっかりしていなくても、テキパキしていなくても、何があってもイライラせず怒らずに、人に対して思いやりを持って優しく接することが出来る。簡単そうで難しい。実はとても尊いことなのだ。
 のろけ話になってしまうけど、今さらながら私の主人はある意味偉大な人なのだと思った。
 何はなくとも、大事なのは優しさなんだ。

 イベントが終わり日常生活が再び始まり、何だか寂しい気もするけれど、本当の始まりはここから。優しい主人を見習わなくちゃいけない。何気ないこと、何でもない時間。気持ちを落ち着けて穏やかに。日常の中、小さなことを大切にしていこう。