ひりひりくらいがちょうどいい

「大人しい子供」でした。日々の書きたいことを書きたいように書いていきます。

ダンシング・キッズ!

 昨日の話。

 

 地元の公園で、いろんな地域のご当地グルメを屋台でちょこっとずつ食べられるイベントをやっていたので、小雨の降る中、彼氏と出かけた。

 グルメ満喫が目的だったのだけど、公園の中央のステージで、地元出身のシンガーソングライターやら路上ライブをやっているようなバンドがパフォーマンスをしていて、グルメを味わいながら、見るともなく眺めていた。

 何組目かで、地元の子ども向けダンス教室の子どもたちが、満面の笑顔を弾かせながら音楽に合わせてダンスを始めた。

 下は3歳くらい?から、上は高校生まで、いろんな年代の女の子たちが、手作りと思しき色とりどりのキラキラの衣装に身を包み、全身を力いっぱい使って踊っている。

 みんな振りがよく揃っていて上手。

 どの子にも共通するのは屈託のない完璧な笑顔。ニッコニコ!

 ちょっと緊張してるかな?って子もいたけれど。だいたい笑顔。

 きっと先生から「満面の笑顔で踊りなさい」って教えられてるんだろうなぁって、昔ダンスをちょこっとかじったことのある私は想像した。

 踊っているほうが笑顔じゃないと、見ている人に楽しさや元気さは伝えられないよって。

 

 踊る子どもたちを見ていると、だいたいいつも同じことを思う。あるいは劇場の子役、観客の子ども。

 私も子どもの頃、踊ったり歌ったり演技をしたりしたかったなぁって。

 お芝居もたくさん観たかったなぁって。

 高校生になってから演劇部に入り、18歳で働き始めてからは趣味でミュージカルをしたり、今は合唱団で2年に1回くらいはコンサートを開いたりして、大人になってからは随分と自分のやりたいこと、好きなことをたくさんやれている。ミュージカルや映画も、自分の観たい作品は必ず劇場まで足を運んでいる。

 ただ、子どもの頃は、自分の好きなことややりたいことに対して、どこか躊躇する気持ちがあった。飛び込むだけの勇気が持てないでいた。

 

 小学生の頃、運動会で、応援団の一環としてチアガールのダンスがあった。有志の、まさにやりたい子だけが放課後に時間を取って練習するシステム。

 低学年の頃にチアガールの演技を見て、自分もやりたい!!と思った。

 確か応援団へ参加できるのは3年生からだった。

 3年生の運動会の前、クラスで先生が「応援団やりたい人!」と有志を募った。

 さあ、今こそ手を挙げる時だ!と頭ではわかっていたのに、当時の引っ込み思案な私は手を挙げることができなかった。

 「応援団」という言葉を聞いて、クラスメートの何人かがクスクス笑ったような気がしたからかもしれない。せめて先生も「応援団」じゃなくて「チアガール」と言ってくれたら良かったのに。そうしたら手を挙げられたかもしれなかったのに。9歳の私は思った。

 結局、その場では誰も手を挙げず、先生に施されるかたちで他の子が選ばれていたように思う。当日、運動会で自分の出ていないチアガールの演技を見て、ものすごく後悔した。あの時手を挙げていれば。4年生では必ず手を挙げよう!と固く固く心に誓った。

 

 結局3年生の終わりにその小学校を転校してしまったので、チアガールのダンスは経験できずじまい。

 踊る子どもたちを見るといつも思い出す、ほろ苦い思い出。

 今ではダンスって学校の必須科目になってるらしい。テレビでアイドルがダンスしてるのを見る機会も多いし、私が子どもの頃とくらべてどんどんダンスが身近なものになっているようだ。子どもの習い事としてのダンスも、昔は今よりメジャーじゃなかった。

 アイドルに憧れてダンスやってみたい!って言う子もいるだろうし、お母さんがやっていたから子どもにも経験させたいってことで始める子もいるだろうし。

 「自分の子どもがやりたいって言ったら機会をつくると思うけど、それより自分がやりたいわ!」って言ったら彼氏に笑われた。

 実際今、合唱団のコンサートのほうで有志でダンスチームもあったりはするんだけど、自分は参加していなかったり。大人になってやってみてわかったけど、結構ダンスって運動神経が密接に関係してる。運動神経がつながっていない私はダンスをするのに人並み以上の頑張りが必要なのだった。けれどそれはやってみないとわからなかったことなので、少しでも足を踏み入れてみて良かったな!と思っている。

 何にせよ、今は、自分のやりたいと思ったことに対して躊躇なく行動できる大人になれたので、子どもの頃の後悔や無念は現在進行形で清算され続けている。

 

 子どもって親を選べないわけで、どうしても親の興味や趣味が子どもの興味関心に少なからず影響してしまうものだと思う。お芝居好きなお母さんは子ども連れでお芝居観に行くことがあるだろうし。

 私の両親はお芝居や歌やダンスの趣味が特別あったわけじゃなかったので、子どもの頃の私は、なかなか早い段階でそうした世界に触れることはできなかった。親のせいとかそういう話ではなく、親の影響力ってそういうものなんだと思う。

 けれど親とは関係なく、勝手にチアガールやってみたいと思ったし、学校で観に行ったミュージカルに影響受けて自分もやりたいって思ったし、ドラマの「ガラスの仮面」観て演劇やりたいって思った。結局子は子なんだな。親と子は別の人間。そういうもの。

 自分がいつか子どもを持った時、この感覚を忘れずにいたいな。

 

 9歳の私がキラキラ笑顔のダンスを見たら、どんな気持ちになっていたかな。

 参加してもなかなか上手く笑えていなさそうだ~。